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国立新美術館&森美術館 [Art]

昨日に引き続き、"六本木アート・トライアングル"へ。小雨模様の中、まずは国立新美術館。東京メトロ乃木坂駅6番出口から向かうと、チケット売り場で少し行列が出来ていて身構えたが、5分ほど並んで窓口へ。"大回顧展モネ"は10分待ち、"異邦人たちのパリ 1990-2005"は待ち時間無しとのことで、両方観ると計200円割引とのこと。ただ、当方はこの美術館自体を見に来たことでもあり、また最初の開館記念展である後者の開催期間は5月7日までということなので、迷わず後者のみの入場券を購入。

この展覧会は、フランス・ポンピドーセンターの所蔵品展で、20世紀から初頭から現代までの作品約200点を展示するもの。セクションは<1.モンマルトルからモンパルナスへ><2.外から来た抽象><3.パリにおける具象革命><4.マルチカルチャーの都・パリ>の4部構成で各々テーマ性は感じられるが、年代的にはかなりのラップが見られる。それにしても、フランス人以外の画家・彫刻家だけでこれだけ充実した展示になるということ自体、パリの求心力を強烈に示しているように思う。

印象に残ったのは、ピカソの具象画「座せる裸婦」、キスリング「若いポーランド女性」、カンディンスキー「相互和音」など。また、マン・レイ、ブラッサイといった写真芸術の台頭と抽象絵画の深化が同時進行していることも感じられる展示になっていたと思う。第4部のコンテンポラリーアートは先鋭的なものも多いだけに距離感も感じたが、これらも時代を経て徐々に淘汰されていくのかもしれない。

見終わってから六本木側の正面入口を出ると、別館の南側に旧・第三連隊の建物の壁面が保存されている。この歴史から思い起こすのは、小学生の頃に草野球ができる場所を求めてうろうろする中で、このあたり(実際は今も残されている都立青山公園の敷地だったと思うが)を「サンレンタイ」と呼び習わしていたこと。今も残る米軍ヘリポートから軍用ヘリが離陸していった姿をおぼろげに記憶している。

引き続き小雨の中を六本木ヒルズまで歩いてから、森美術館へ。チケット購入後53階まで上がり、まずは「日本美術が笑う」展へ。「笑い」をキーにした古代から現代までの日本美術を概観した展示になっている。笑顔の縄文埴輪に始まり、岸田劉生「麗子像」と山雪などの「寒山拾得図」との関連展示へと続く。曾我蕭白、伊藤若冲、森狙仙、南天棒などの貴重で愛らしくも興味をそそる作品が並ぶが、河鍋暁斎「放屁合戦絵巻」のバカバカしさには理屈抜きに吹き出してしまう。展示の締め括りに置かれた円空、木喰などによる笑顔をたたえた木彫の仏像群には、その大らかさが新鮮に感じられた。また、最近読んだ辻惟雄「奇想の図譜」で紹介されていた白隠禅師の作品を実物で見ることができたのも嬉しかった。

次いで、同時開催の「笑い展−現代アートにみる『おかしみ』の事情」へと進む。第一次世界大戦以降の現代アートにおける「おかしみ」を通して作品のメッセージを読み取ろうとする目的での展覧会とのこと。冒頭に展示されるフルクサスの作品群など、にやりとさせられる知的な笑いを含む展示も多い。ただ、素直に大笑いする作品が見られない気もするのは、こちらも展覧会のはしごで多少疲れていたためかもしれない。
後半にかけてビデオ映像による作品が増えるが、ここまで来ると「モンティ・パイソン」をはじめとするナンセンスさを基調とした映像表現や、日本のお笑い芸人のビデオクリップとの間で何処で線引きをするのか悩ましい気もする。タミ・ベン=トール「アドルフ・ヒトラーについて語る人達」を見ていたら、松尾貴史(当時はキッチュという芸名だったか)が「朝まで生テレビ」出演者たちのパロディを一人で演じていたことを思い起こしてしまったりした。


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