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壽初春大歌舞伎(昼の部) [観劇(伝統芸能)]

壽初春大歌舞伎(昼の部)
歌舞伎座
2006年1月8日(日)11時00分開演 1階19列13番

いよいよ歌舞伎座の初芝居。藤十郎襲名披露で先月の南座と同じ演目が多いのは残念。

1.岡鬼太郎作「鶴寿千歳」箏曲連中

昭和天皇即位大礼を記念して作られた舞踊とのことで、上手に琴四面と山台に唄五人の箏曲連中が珍しい。梅玉と時蔵が雄鶴雌鶴の装束でゆったりと上品に踊る。正月昼の部の幕開けとしてはお目出度くて良い。

2.「夕霧名残の正月」由縁の月 常磐津連中

南座とは配役も基本的に同じで違いは舞台の広さくらいだが、それも違和感は少ない。
むしろ感じたのは、客席の雰囲気。やはり南座では藤十郎(鴈治郎)贔屓の熱を感じた。一方、歌舞伎座では見物が一歩引いているというか、ビジターという感じがしたのは、私だけなのか、今日だけのことなのか。

3.「奥州安達原」環宮明御殿の場

「袖萩祭文」として知られる一幕。5年前の吉右衛門が袖萩・貞任二役を演じた舞台は残念ながら見ていない。今回は吉右衛門は貞任のみで、袖萩を福助が演じる。その袖萩は、雪の中での寒さは伝わってきたが、これはお君役の山口千春の好演も大きい。また、思っていたよりは抑えた演技ではあったが、自害に至る気持ちの動きは見えにくい。吉之丞の浜夕、段四郎の直方とも落ち着いた演技。
後半は吉右衛門の貞任が中心の芝居になるが、台詞の味わいと古風な動きで楽しませてくれて嬉しい。八幡太郎吉家の染五郎は大きさを出そうとしているが、精一杯といった感じ。宗任の歌昇は手堅くきっちり。

4.花競四季寿「万才」竹本連中

人形浄瑠璃の景事(所作事)から移した新作で、「万才」はその春の段。芝翫休演で福助、扇雀になったのは残念。紅白の梅を中心として松竹梅をあしらった羽目板の前で万才の二人が踊るという、これもお目出度い踊りだが、今ひとつメリハリに欠ける感じで、やはり文楽でやって貰った方が楽しめそうな気がした。

5.「曽根崎心中」一幕三場

こちらも南座とほぼ同じだが、九平次だけが橋之助に。上方らしさ溢れるこの芝居の中で、想像していた程は雰囲気を壊していない。ただ、平成中村座での「夏祭浪速鑑」での経験あたりが本人の抽斗なのだろうが、やや一本調子。
藤十郎のお初は、あの年齢でもあり少し太めなことが気になったりするが、ふっと可愛らしく見える瞬間も確かにあるのは流石。


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コメント 8

Norihime

南座と歌舞伎座との両方で藤十郎襲名披露を見るなんて、さすがですね。
やはり藤十郎さんは、関西の方がご贔屓が多いみたいですね。
京都だし、関西人は関西出身者をこよなく愛する習性があるし‥‥(^_^;)
藤十郎さんのお初、確かにふとかわいらしく見える瞬間がありました。
あんな“ぼってり”した娘さんなのに、不思議ですねぇ‥‥。
by Norihime (2006-01-09 14:52) 

いわい

こんにちは。
わたしがみた時にも、藤十郎さんに対する熱は感じられなかったかもしれません。
藤十郎さんと翫雀さんの組み合わせは、最初のやり取り(「やつれて。。」とか)に違和感を感じるものの、そこを乗り越えたら安心してみていることができました。
そして、お初の可愛らしさと色っぽさは、やはりスゴいと思いました。
今年もよろしくお願いします。
by いわい (2006-01-09 18:53) 

ShyBoar

Norihimeさん、コメントありがとうございます。
別に藤十郎の追っかけという訳ではないのですが、結果的に両方観ることになりました。
関西にしばらく住んだ人間としては、「関西ならでは」という部分を東京でわかって貰いたくて、ついつい説明したくなったりします。
by ShyBoar (2006-01-09 23:40) 

ShyBoar

いわいさん、コメントありがとうございます。
確かに「やつれて・・・」は厳しいところも。ただ、翫雀の徳兵衛も既に持ち役ですし、相手役として十分勤めてますよね。
それにしても、藤十郎も雀右衛門も70才80才を過ぎた女形であの色気というのは、本当に(良い意味で)「化け物」だと思います。
by ShyBoar (2006-01-09 23:54) 

源九郎

こんにちは。ブログのタイトル、よいですね~

月曜日に昼の部(のごく一部)を再見してきたのですが、「夕霧名残の正月」で進之介のセリフが一部変更されていたんです。いつから変わったんだろうと気になっているんですが、ShyBoarさんがご覧になったときは、京都と同じセリフ(伊左衛門に「今日は何しにきたのか」と聞くところ)でした?
by 源九郎 (2006-01-12 01:36) 

ShyBoar

源九郎様、ようこそ。見つかってしまいましたね、という感じですか。

ご指摘の点は「きれいのタネ」で書かれていたのを拝見して改めて思い出したのですが、セリフは変更されていたと思いますよ。当日は京都のセリフを正確に憶えていたわけではなく「あれ?何か運びがスッキリしているなぁ」という印象だったのですが。

何はともあれ、これだけ書き散らしているのを見られるのもお恥ずかしい限りですが、まあお互い様ということで、ツッコミも含めて今後ともどうぞよろしく。
by ShyBoar (2006-01-12 01:45) 

源九郎

初日には京都のままでやっていたんですよ。まあ、今月は上手な方の太鼓持が出ていないことでもあり、よけいにミョーな感じでしたから、早々に変更されたかもしれませんね。

こちらこそ、よろしくお願いします。たまにはうちのブログにもコメントくださいね~♪
by 源九郎 (2006-01-12 12:00) 

ShyBoar

そうですか。確かに今月の太鼓持には、あまり余分なセリフは言わせない方が良いかもしれませんね(^^;)。

そちらのブログを黙って拝見しているうちは、いきなりコメントをするのも控えていましたが、そのうちまたお邪魔することにしますので、どうぞよろしく。(コスメネタはちょっと無理ですが)
by ShyBoar (2006-01-12 22:11) 

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