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「贋作・罪と罰」 [観劇(その他)]

NODA MAP 第11回公演「贋作・罪と罰」 脚本・演出 :野田秀樹
Bunkamura シアターコクーン 19:00開演 1階C列14番

 

今年の観劇納め。実を言うと、どうしても見たいというわけではなかったのだが、e+(イープラス)のプレオーダーで運良く入手できたのと、一応初演を見ているので行くことにした。ところがこれが、大当たり。

劇場に入ると菱形の舞台で、周囲をスロープとステップで取り囲まれている。席は舞台奥の一番後ろだが意外と全体が見渡せる。長さ2mほどの蛍光管を仕込んだ台付きの棒や、いろいろなサイズの小学校の椅子などを小道具として多用しながら、野田秀樹らしく役者が目まぐるしく動き回る。

とにかく、松たか子が素晴らしいの一言。理想のためという理由付けで金貸しの老婆おみつとその妹おつばを殺した三条英役だが、その後の怯えやひりひりするような葛藤の中で行き詰まっていく様子が、明快で迫力のある科白から伝わってくる。ポスターの袴姿と違うキュロットスーツの赤が目に痛い。
それを受け止める才谷梅太郎役の古田新太も、おちゃらけが入っても全編を通じて真摯な大らかさを感じさせてくれる。後半での二人のやりとり、そして牢から才谷に向けた手紙を語る英の言葉には泣かされてしまった。

都司之助役の段田安則は、古田とはまた違った落ち着きを見せる。村岡希美もおつば、酒場の女将など5役を達者にこなす。その他では、英の妹・智役の美波が熱演。溜水石右衛門役の宇梶剛士は、まあまあ。

それにしても、10年前の初演(NODA・MAP第2回公演)の記憶があまりなく、強いて言えばうっすらとだがやや頭でっかちな面が強かったような印象が残っている。そこで、帰宅してから当時のパンフレットを引っ張り出して見てみた(結構物持ちが良いのだ)ところ、英の大竹しのぶと智の平栗あつみは一応科白のイメージが甦ってきたが、才谷の筧利夫を含めてその他は思い出せない。野田秀樹自身も「初演は演出的に少し窮屈にしてしまったかな」「今回はより戯曲に沿った」と言っているが、役者の力だけでなく演出面でも今回の方がこなれているということかもしれない。


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