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二月大歌舞伎(夜の部) [観劇(伝統芸能)]

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初代松本白鸚二十七回忌追善
歌舞伎座百二十年 二月大歌舞伎(夜の部)

歌舞伎座 2008年2月2日(土)16時30分開演 1階16列19番

1.寿曽我対面 一幕
富十郎の工藤は昨年末の南座顔見世で観たばかり。膝は相変わらず良くないようだが、それ以外は姿、口跡とも堂々たるもので、やはり当代では一番かも。いつもは黒綸子の衣裳なのが、白鸚追善なので白地にしたとのことで、ちょっと珍しい。

三津五郎の曽我五郎は、思っていたよりはるかにきちんと荒事らしく勤めてなかなか。橋之助の十郎は、柔らかみはそれなりだが、少し五郎との間が合わない瞬間があるように感じられた。

歌昇の朝比奈もニンに合い口跡も気持ち良くまずまず。芝雀の大磯の虎、孝太郎の化粧坂少将とも、おっとりとした風情に程の良い華やかさもあってなかなか。


2.初代松本白鸚二十七回忌追善 口上 一幕
雀右衛門、幸四郎、吉右衛門、染五郎、松緑という血縁者だけで、歌舞伎座の広い舞台には少し寂しい感じもあったが、これはこれで追善らしいしみじみとした口上となった。


3.一谷嫩軍記 熊谷陣屋 一幕
昨年9月歌舞伎座秀山祭での吉右衛門による上質な演技がまだ記憶に新しいところだが、今回は白鸚追善で幸四郎が勤める。

その幸四郎だが、しばしばくぐもった口跡が気になる義太夫狂言としては台詞ははっきりしている方だと思うが、それ故にかえって前半からの思い入れが強すぎて底が割れてしまうというか、抑制が足りないように感じられたのは残念。

その他周囲を固める顔ぶれは、芝翫の相模、魁春の藤の方、段四郎の弥陀六、梅玉の義経と、いずれも充実した出来。芝翫は少し芝居がさらさらと進んでしまう箇所があるが、全体としては流石に立派。また梅玉の義経も品の良さは特筆すべきレベル。


4.新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子 長唄囃子連中
先月の「連獅子」に引き続いての石橋物だが、染五郎の奮闘振りが見もの。

前シテの弥生として登場すると、想定以上に綺麗な姿に少し驚く。線の細さと骨っぽさが目についたり、手を突っ張ったところでのバランスが少し悪かったりするところは少々柔らかみに欠けるのが気になるものの、女形として一応形にはなっていたように思う。

一方後半の獅子ではきちんと勢いがあり、毛振りも十分にリズミカルではあったが、こちらも毛先の動きや極めの姿勢にもう一段整然とした美しさがあればなお良いかと思う。素養も華もあるとは思うので、今後とも引き続き精進を願いたいもの。

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