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第17回上方歌舞伎会 [観劇(伝統芸能)]


国立文楽劇場青年歌舞伎公演 歌舞伎俳優既成者研修発表会
第17回上方歌舞伎会
国立文楽劇場
2007年8月18日(土)16時開演 1階8列33番

上方の若手を中心とした役者達による勉強会で、今回で17回を数える。今年も昨年と同じく、関西在住の観劇仲間で久しぶりに会える人がいるし、またそのメンバーと一緒に親しく応援させていただいている役者さんがご出演ということもあってやってきた。

  片岡仁左衛門 片岡秀太郎 指導
1.一條大蔵譚 大蔵館奥殿 一幕
若手にとってはなかなかの大作に挑むのはこの会ならでは。まず松三郎の吉岡鬼次郎がきびきびと動く姿もすっきりとして、同時に古風さも感じさせてくれる。鬼次郎女房お京の松之はやや影が薄い感じだが、比べるのは少々気の毒。常磐御前は扇乃丞で、凛とした雰囲気とまではいかないが手堅い芝居。八剣勘解由の千蔵、勘解由妻鳴瀬の當史弥とも、予想以上に丁寧に進める。大蔵卿の松次郎は今回も大役だが、正直なところ教わったとおり演じることで精一杯という印象だったが、きちんと最後まで勤めきっていたのは立派。

2.双蝶々曲輪日記 道行乱朝恋山崎 常磐津連中
「相撲場」「引窓」以外の場面が上演されることは珍しい「双蝶々曲輪日記」の七段目。山崎与五郎の狂乱と藤屋吾妻の道行を描く常磐津舞踊。千壽郎は踊りで見せる域とまでは言えないが、持ち前の色気は無理なく出ている。千志郎も思った以上に緊張感を保って踊りきる。占師の松四朗は、道具も抱えて難しい役どころだとは思うが、少し余裕の無さが目に付いたのは残念。

3.新版歌祭文 座摩社 野崎村 二幕
何と言っても「座摩社」から始まるのが嬉しい。本興行も含めて初見だが、これがあると久松が何故野崎村に戻されることになったのかがわかる。ここでは、何と言っても策を弄する油屋手代・小助を演じる松之助の好演が目立つ。こうした会ばかりでなく、本興行での本役で演じて欲しい。他の若手も、出入りの激しい場面ながらもたつきは思ったほど感じられなかった。
「野崎村」も、久松を送ってきた小助が無体に騒ぐところを久作が追い返す場面から始まるので、久作の凛々しさが際立つ。その久作は鴈大が勤めるが、老け方が弱いのはやむを得ないとして、それを除けばなかなかの熱演。純弥のお光、雁祥の久松、お染のりき彌とも、いたずらに自分のやり方に引きつけたような芝居でなく、教えられたとおりに演じ進めようとする意識を感じ、好感が持てた。

総じて丁寧さの目立つ今年の会だったが、以前に少し耳にしていたとおり、七月松竹座での海老蔵の怪我に伴う代役騒ぎの影響で予定していたような稽古ができなかったらしいのだが、かえってそれが緊張感に繋がったという面もあったのかも。

終演後は、こちらも昨年と同じく千日前の「和食厨房 聡」へ。昨年会えなかった顔ぶれや応援している役者さんも合流し、相変わらずの芝居ネタで遅くまで話し込む。店を出て飲める男性陣だけでもう一軒という雰囲気もあったが、昨日からの疲れもあって少々眠たかったので遠慮。結局そこで解散し、それぞれが宿泊しているホテルへ戻った。


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