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團菊祭五月大歌舞伎(夜の部) [観劇(伝統芸能)]


團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)
歌舞伎座
2007年5月20日(日)16時30分開演 1階18列17番


演舞場終演後、歌舞伎座へ。同じ劇場で昼夜通しよりは、少しだけ気分が変わって楽な気がする。

  十七世市村羽左衛門七回忌追善狂言
1.女暫 大薩摩連中 一幕
他の役者の追善でも感じることだが、羽左衛門ももう七回忌か、という感慨がある。派手な役者ではなかったが、骨太な安心感を感じさせる舞台を思い起こす。
その息子達の世代は、坂東彦三郎、市村萬次郎、河原崎権十郎と姓も屋号も別れていずれも主役級ではないが大切な役者達としてそれぞれに味わいをみせているが、一家一門というイメージは薄いので、こうして追善興行でまとまるのも新鮮に感じられる。

その兄弟の中で、今回は次男で市村姓と橘屋の屋号を受け継ぐ萬次郎が主役を勤める。最近では昨年3月のPARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」でのおウメの印象も強いが、声も印象的な個性的女方である彼としてはこの演目は向いているのではないかと、開幕前からも思っていたが、まさに胸のすく気持ちの良い舞台になっていた。花道でのツラネのせりふに追善の趣旨を織り込みながら言い立てるくだりは圧巻。本舞台での動きは目立ったところはないが、最後の「預け六方」では、三津五郎とのやりとりや恥じらい方も微笑ましく、大拍手で揚げ幕へ引っ込んでいった。

2. 雨の五郎 長唄囃子連中
   三ツ面子守 常磐津連中
「雨の五郎」は、上演回数が案外少ないが、結構難しい踊りという気もする。雨の中を大磯の廓へ通う五郎時致という設定のため、やんちゃキャラの五郎ながらしっとりした色気や柔らかみも必要で、下駄を履いて踊る前半は特にドタバタし易い。今回の松緑は、姿もまずまずすっきりとして動きも危なげはないが、自在さという域には未だという気もする。
一方「三ツ面子守」は、三津五郎が比較的珍しい子守女姿で踊る。後半にかけておかめ、ひょっとこ、恵比寿の面を何度も取り替えながら、そのたびに踊る所作も細かく変化させるのは流石。全体を通して、腰・膝・足先の何ともしなやかな動きだけで、踊りを見る楽しさを感じさせてくれる好演だったと思う。

  竹柴其水 作
3.神明恵和合取組 め組の喧嘩 四幕八場
   品川島崎楼より神明末社裏まで
菊五郎劇団ならではの江戸風俗と大立ち回りたっぷりの演目。近年の三津五郎での舞台は観ておらず、平成5年の歌舞伎座と御園座、平成8年の歌舞伎座以来になるが、全て菊五郎ばかり。

その菊五郎の辰五郎は、期待通り手に入った芝居でよどみがない。その他の鳶の面々も顔ぶれは少しずつ変わって来ているものの、いずれも違和感は感じさせない。更に今回、相撲の側は團十郎の四ツ車がとても立派なのが印象的。海老蔵も、表情が少し鋭すぎると思うところもあるが、キレたら強そうな感じを漂わせていた。

「辰五郎内の場」では、時蔵のお仲が、辰五郎に対する愛想尽かしの後に分かり合って送り出すまで、控えめながら鉄火な強さと情の深さを無理なくきっちりと感じさせてくれる。又八は扇雀の息子・虎之介が勤めるが、クリッとした目も愛らしく、また一途に父を慕う芝居もくっきりしていて、こちらも子役として十分の芝居。

終盤の鳶と相撲の喧嘩の場面は、大勢が動き回っているだけなのに冗長にはならず変化に富んだ動きを見せてくれる。小屋に直接飛びついて屋根によじ登るところでは、客席からもどよめきが。更に、幕切れで止め男である梅玉の喜三郎が、梯子に乗って倒れこみながら両者の間に割って入ると悲鳴すら聞こえるほどで、客席中がたっぷりと楽しんで幕となった。

 

終演後は関西からの友人と合流。ワインをご所望だったが日曜日の夜の銀座だと選択肢が少ない中、知り合いにも聞いたりした上で予約しておいたヴァンピックル銀座店へ。ホームページでは結構おしゃれなイメージだが、実際は焼き鳥(焼きトン?)屋とまでは言わないものの意外と庶民的で使いやすい雰囲気。埼玉産の吉田豚の串焼き(レバーが美味)などと自然派のロワールの白さらにもう一本赤ワインを空けながら話し込み、閉店まで長居した。


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