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二月文楽公演(一部) [観劇(伝統芸能)]

国立劇場開場40周年記念
二月文楽公演
国立劇場小劇場
2007年2月12日(月)

【第一部】 11時開演 1階9列28番

近松半二・竹田和泉・北窓後一・竹本三郎兵衛=作
奥州安達原

 朱雀堤の段
      袖萩:呂勢大夫 直方:津国大夫 生駒之助:南都大夫 八重幡姫:つばさ大夫
      恋絹:睦大夫 瓜割:文字栄大夫 次郎七:相子大夫 六:芳穂大夫 九助:呂茂大夫/宗助

 環の宮明御殿の段
      中 新大夫/清馗
      次 千歳大夫/清治
      切 十九大夫/富助
      奥 咲大夫/燕三

  <人形役割>
   袖萩:紋寿 娘お君:紋吉 かさの次郎七:一輔 六:玉佳 瓜割四郎糺:亀次
   八重幡姫:簑一郎 平直方:玉也 志賀崎生駒之助:清之助 傾城恋絹:清五郎
   とんとこの九助:紋臣 妻浜夕:和生 敷妙御前:玉英 八幡太郎義家:玉輝
   桂中納言 実は 安倍貞任:勘十郎 外が浜南兵衛 実は 安倍宗任:玉女

前日に引き続いての観劇だが、今日は第一部だけなので体力的にも少し気楽。

幕開きの「朱雀堤」は、歌舞伎でも普段は全くかからない場だが、「環の宮」の前提となるエピソードや登場人物が出てくることで物語に立体感が増す。呂勢大夫の袖萩はまずまず。また、人形、語りともに酒飲みの六のキャラクターが楽しい。

続いてメインとなる「環の宮明御殿」。まず中を新大夫が持ち前の勢いのある声で語り始めるが、今一段の繊細さがほしい。清馗も丁寧についていくが印象は強くない。

続いて次は千歳大夫と清治。語りはこの日は調子も悪くない様子で、程良い粘りで丁寧に語り進めていく。三味線も清治ならではの渋い調子の中に時としてはっとさせる音を響かせ、緊張感を高める。

切は十九大夫が懐の深い声で山場を語る。ただ、眼目である寒さの中でいたわり合う袖萩と娘の哀れさ、意地らしさに関しては、特に節を締め括る部分の声が太くなるのが興を削ぐ面があり、一気に涙を誘うところまで行きにくい。一方で富助の三味線は少し優しさのある音色で、親子の情愛を描く場面には相応しい。

ただ、歌舞伎でも良く知られ人気のあるこの場面は、子役の芝居が上手い場合には人形よりも否応なしに泣かされてしまう気がするが、それと比べると文楽はややあっさりしているかも。

最後の奥は、ドラマの締め括りに向けた展開を咲大夫がエネルギッシュに語り、技巧派の燕三も張りのある響きでこれに応えていた。そして、何と言っても勘十郎の貞任、玉女の宗任の二人がとてもスケールの大きい動きを見せてくれていたのが、とても強く印象に残った。


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コメント 2

mami

ShyBoarさん、こんにちは。
昨日行ってきましたが、梅は残念ながらもうほとんど終わっていました。今年は暖冬のせいか咲くのも散るのも早いですね。この調子では桜はどうなることやら。

「奥州安達原」は話自体が好きになれないのですが、人形・義太夫共に手堅い出来にとどまって、感動にまでは至らなかったという気がします。
燕三さんの三味線が気迫があって良かったですね。
by mami (2007-02-20 16:24) 

ShyBoar

そうですか、梅の散るのは本当に早いのですね。今年は桜ももう咲き始めているところもあるようですし、今年限りの暖冬であれば良いのですが。

この物語は、義家と安倍一族の対立の間に立って引き裂かれる平直方親子の位置づけと死の理由がなかなかすんなりと飲み込めないので、全体の流れとして盛り上がることになり難いですよね。
by ShyBoar (2007-02-20 23:19) 

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