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展覧会二題@日本橋 [Art]

以前から行くつもりだった展覧会が二つ日本橋・三越前で開催されてるので、足を運ぶことにした。まずは三井タワーへ。

三井記念美術館 開館一周年記念特別展
赤と黒の芸術 楽茶碗


今年の8月、京都樂美術館を訪れた時に今回の展覧会のチラシと割引券を入手していたので、ぜひ見てみたいと思っていた。

実は三井記念美術館自体が初めてだったのだが、まずは展示室1で重厚な木を贅沢に用いた内装に圧倒される。ただ、肝心の樂茶碗達もそれに負けない存在感を見せてくれる。

特別出品されている「黒樂茶碗 銘 大黒」も重みを感じさせるが、同じく初代長次郎の「黒樂茶碗 銘 俊寛」は、利休が薩摩の門人に茶碗を三つ送ったらこれ以外が送り返されて来たので、残された茶碗を「俊寛」と名付けたという解説が加えられており、これなども芝居好きには一層興味深い。

以降、代々の代表的な茶碗を中心に90点ほどの展示がある。8月の京都でも感じたが、手捏ねと独自の釉による黒樂、赤樂という一貫性は保っているものの、代々の当主はむしろ先代の作風を受け継がず、時代の影響も受けつつ独自の個性を確立しながら十五代継続している、その歴史に圧倒される思いがした。

続いて、すぐ並びにある日本橋三越本店新館7階ギャラリーへ向かう。
衣裳・小道具で見る歌舞伎展


既にいくつかのブログで紹介された内容を見ていたが、松竹衣裳と藤浪小道具が協力しており、この手の展覧会としては出品点数も多い。まずは「假名手本忠臣蔵」「京鹿子娘道成寺」や三姫の衣裳を表裏とも間近に見ることができ、しかも普段なかなか見られない引き抜きの上半身部分なども展示されている。また、三越衣裳部の手になる松王丸(六代目菊五郎)や意休(七代目幸四郎)の衣裳はガラスケースの中だが、刺繍の豪華さに思わず息を飲む。

次の部屋からは小道具が中心で、馬の骨組みや鯛の作り方、「髪結新三」の鰹や「四谷怪談」の抱き地蔵なども興味深いし、知盛の碇や鎌倉権五郎の太刀、「関の扉」の大まさかりなども、やはり目の前にあると大きさが良くわかる。さらに、鯨の髭や膠などの素材や材料も合わせて展示され、やはり新しい素材ではうまくいかないことも多いといった解説が添えられていた。

最後は、波音用の小豆籠、風音を立てる手車、そして町駕籠(四つ手駕籠)などが展示されており、触ったり写真を撮ったりできるのも楽しかった。

それにしてもこうした展示なら、衣裳類が今回ほどの規模でないにしても、小道具を中心に何とか常設に近い形でできないものだろうか。煙草盆など今や我々の生活の中では身近に見当たらなくなっている道具類が多いこともあり、歌舞伎への関心を喚起するためにも、例えば新しい歌舞伎座の建物内にそうしたコーナーを設けるという手もあるのではないだろうか。


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コメント 2

源九郎

>新しい歌舞伎座の建物内にそうしたコーナーを設ける

それ、いいですね~
今度歌舞伎座の目安箱に投書してこようっと。
by 源九郎 (2006-11-05 20:08) 

ShyBoar

ご賛同いただきありがとうございます。私も目安箱に入れてくることにしましょう。
舞台の上の夢として手の届かないところに置いておいた方が良いものもあるでしょうが、大阪の国立文楽劇場には常設展示室がありますし、身近に感じてもらうための工夫が有効な部分もまだまだあると思うんですよね。
by ShyBoar (2006-11-07 07:51) 

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