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初春花形歌舞伎(夜の部) [観劇(伝統芸能)]

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初春花形歌舞伎(夜の部)
新橋演舞場 2009年1月17日(土)16時30分開演 3階2列14番

1.歌舞伎十八番の内 七つ面 常盤津連中
歌舞伎十八番の中で、九代目が「新七つ面」という形で復活し新歌舞伎十八番に加えたり、二代目松緑が昭和58年に別の形で上演してはいるが、それ以外には殆ど演じられていないとのこと。その意味で、今回の上演は復活と言うよりむしろ新作に近いと言えるだろうし、作曲、振付を含めて苦労もあったのではないか。それでも幾つかの手がかりをもとに、七つの面を取替ながら踊る所作事としてシンプルにまとめられており、面白く見ることができた。



2.恋飛脚大和往来 封印切 一幕
澤瀉屋若手の封印切は、本格的に歌舞伎を見始めて間もない平成4年にパルコ劇場での右近/笑也で観た憶えがあるが、今回は澤瀉屋で固めた中に獅童の忠兵衛を迎える形。ただ、失礼ながら今月最も「怖いもの見たさ」だったのが正直なところだが、見終わってみると再々失礼ながら思っていたほどの違和感は感じずに済んだ。

養子の立場ながら遊女に入れあげ、一方朋輩である八右衛門の嫉妬と優越感の入り混じった言葉に煽られた挙句に、見栄と短慮から公金に手をつけるという取り返しのつかない行為に及ぶ、そんな若者の姿を、型とか上方言葉のこなしは別にして、何とも言えずリアルな雰囲気で見せていたように思う。今後とも煮詰めていって再演の機会を得ることができるなら、むしろ意外と向いている役かもしれない、という気もした。

対する八右衛門は、猿弥が本興行では恐らくは初役で勤めていて、芝居の流れを断ち切らないように頑張っているのだが、そうするとどうしても言葉が平板になり、良く言っても現代の関西弁になってしまうのが何とも辛いところ。

笑三郎の梅川は、しっとりと破綻なく安心感はあるが、贅沢を言えばもう少し若い一途さが強めに出ても良い気もする。門之助のおえんは4年前の浅草以来だが、まずまず手堅く勤める。槌屋治右衛門の寿猿も、もう一段の大きい存在感や男気が見えると良かったか。



3.弁天娘女男白浪 白浪五人男 二幕五場
海老蔵の弁天小僧は新之助時代の平成10年3月以来とのことだが、私としては初見。娘姿でも結構ごつい感じだし女形の声もぎこちないのが難と言えば難だが、菊五郎~菊之助ラインの雰囲気が唯一無二というわけでもない、と一歩引いて考えれば、男に戻ってからのふてぶてしさを見せるこうしたやり方も「あり」なのかもしれないとも思うし、少なくとも例えば彼の与三郎よりは違和感は少ない。

獅童の南郷も浅草で2回経験していることもあり、本役とまでは言えずともぎこちなさはそれほど感じられず、一安心。しかし、左團次の玉島逸当実は日本駄右衛門が登場すると、さすがに格の違いがはっきりするのは言うまでもない。

続く稲瀬川勢揃いでは、段治郎の忠信利平、春猿の赤星十三郎が加わるが、両名ともまずまず。ここまでで終わってもよいのだろうが、大詰では極楽寺屋根立腹の場で海老蔵の立ち回りをたっぷり見せ、最後は山門と土橋で締め括るのは、ご贔屓へのサービスといったところか。


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